特定調停というのは、簡易裁判所の調停委員という人が貸主と借り主の間に入り、双方の言い分を聞いてお互い納得のいく和解を目指すよう働きかけ、借り主の方が借金を整理し生活を立て直せるように支援する手続きを言います。

特定調停と任意整理との違い
ちょっと聞くと任意整理と似たような感じですが、何が違うのでしょうか。
特定調停:裁判所の調停委員が債務者と債権者の仲介をし和解成立の支援をする
任意整理:弁護士(司法書士)が債務者の代理人として債権者と和解交渉を行う
ざっくり説明するとこんな感じです。 他にも取立て停止の時期や過払い金の取扱であったり、成功率などいくつか違いがあります。
特定調停のメリットとデメリット
まずメリットとしては、任意整理と同じく利息制限法の上限金利まで金利を引き下げて再計算するで、借金減額することができるという点です。
また、どの債権者と和解するのかを自由に選べますので、例えば自動車ローンだけを外して特定調停を行い、結果自動車を持ったままという事ができます。
他にもいくつかあります。
次にデメリットですが、申立書の時に必要な書類を用意し債権者の方と話し合いをするために裁判所に出頭しなければなりません(自分で行う場合)。
また、取立てが止まるまで時間がかかることも挙げられます。
また、過払い金を返してもらえないというのがあります。借金を整理していく中で過払い金が発生していた場合、任意整理なら過払い金を元金の返済に充てるという事もできますが、特定調停ではそれができません。
最後に、調停が成立しない。つまり和解できないこともあるというものです。
和解の成立には債権者の方の同意が必要なのですが、同意が得られなければ調停は成立しないということになります。

特定調停にかかる費用は?
自分で申立てをする場合、債権者1社あたり500円~1,000円ほどとなります。
※簡易裁判所によって違います
弁護士や司法書士に依頼する場合は、報酬費用として20,000円~30,000円程度が相場となっています。
それ以外の費用として切手代がありますが、裁判所によって金額は変わります。
費用については分割に応じてくれる事務所もあるので相談してみて下さい。
特定調停もブラックリストに載るの?
結果からいうと、載ります。
載っている期間は信用情報機関によって異なりますが、およそ5年ほどは掲載されます。
特定調停のやり方は?自分でできる?
特定調停は自分でもできます。
というよりは、むしろ自分で申立てを行うのが普通、というような印象でしょうか。 もちろん弁護士や司法書士に依頼する事もできます。
ざっくりとしたやり方は申立て書類を作って、管轄の簡易裁判所に申立てを行います。
調停委員が選ばれ、自分と調停委員で話し合いを行います。
次に調停委員と債権者の間で返済計画の調整が行われます。
債権者の同意が得られれば調停調書を作成します。
返済計画に沿って返済していきます。

特定調停に必要な書類や手続き
特定調停に必要な書類は
- 申立書・・・債権者が複数ある場合は債権者ごとに作成します
- 調査票
- 申立書のコピー
- 家計収支表
- 所得額証明書と納税証明書
- 給与証明書か源泉徴収票
- 賃貸借契約書のコピー・・・家賃の振込書のコピーなど
- 光熱費の領収証のコピー・・・直近2~3ヶ月の光熱が分かるもの
- 債権者の資格証明書・・・法務局で取得できます
かなりありますね。
他にも裁判所から必要と言われた書類があれば用意します。
これらの書類を持って簡易裁判所で申立てを行います。

特定調停はどれくらいの期間かかるのか?
申立てを行い、受理されてから手続きが終わるまではおおむね3~4ヶ月になります。
ただし、債権者の方が同意しない場合は伸びる可能性もあります。
特定調停の成功率ってどれくらい?
任意整理よりも安い費用でできる「特定調停」ですが、どれくらいの確率で完了できるのでしょうか。
正直なところ低いです。およそ10~15%程度です。
債権者との合意がなければ成立しないからだと思われますが、同じ時間をかけるのであれば法律の専門家に相談する方がいいかも知れません。